ドイツ人の働き方

公開日 : 2017年08月25日
最終更新 :

ドイツ人は効率的、ドイツ人は無駄が大嫌い。

日本もドイツも技術や学術が世界でもトップレベルですが、人々の「働き方」には大きな違いがあります。

ドイツ在住5年間で、自分の主人はもちろん、たくさんの男性や働く女性を見てきました。

また、こちらでの個人の経験としては、アパレル店でのアルバイト、イベントコーディネートを通して関わったドイツのメッセ関連企業、日本語教師としての新たな仕事で関わっているドイツの市民大学の職員とのやり取りから、その違いを比較しています。

日本との大きな違いとしてあげられるのが、「プライベートの時間、家族の時間を最優先する」ということです。

ドイツ人は、家でくつろぐ時間をとにかく大切にしています。

家でリラックスするために自分の気に入る家具、心地よい家具へのこだわりは男女ともにものすごく強い印象を受けます。また、ここへの出費は惜しみません。

仕事が忙しくても、必ず十分な自分または家族の時間をとり、休憩して癒される!!!

これに対して文句を言う人はいませんし、これによって上司や同僚に使えない奴だと評価されたり、会社での立場が悪くなることもありません。

なぜなら、その上司や同僚もそのまた先のクライアントも同じ考えを持っているから。

しっかりエネルギーチャージしたら、さぁ仕事に取り掛かるか!という良い循環で社会が成り立っていて、その結果、ここでは「人間が人間らしく生きている」と感じることがよくあります。

今回の記事では、ドイツ社会の良いところを日本と比較して述べますが、私の知っている範囲での出来事ですので、どちらが悪いとか、日本はこうするべきだとかは判断できませんし、言うつもりもありません。5年も日本から離れていれば今の日本の状況を肌で感じることもできていませんし、きっと日本のストレス社会も色々と改善されてきているのかもしれません。

どうか海外かぶれの人間が!と思わずに、ドイツで暮らす一人の日本人の感想程度に、読んで頂き、参考にして頂ければ嬉しいです。

いくつかの項目で日本とドイツを比較してみましょう。

≪日本とドイツの基本情報比較図≫

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日本人向け無料情報誌「ドイツニュースダイジェスト」が、日本に興味を持つドイツ人向けにドイツ語で発行した「JAPAN DIGEST」より(2013年5月)

【祝日】

ドイツ:9-13日(州ごとに異なる)

日本:15日

祝日は日本のほうが多いですが、サービス業はこれが稼ぎ時で、関係なく働きますよね。むしろ、いつもよりも混み合うしストレスは倍増。

こちらの祝日は、基本的にすべてのお店が閉まります。例外として、キリスト今日の祝日が関係ない外国人経営のレストラン、駅構内の売店やカフェ、ガソリンスタンドに併設しているコンビニ的売店以外のお店は営業しています。ちなみに、これは祝日だけではなく、毎週日曜日がこの状態なのです。初めてこちらに来たときは、え、じゃあ日曜に何するの?散歩?!つまらない!耐えられない!と思っていましたが、休みは休み、すべての人が休む日!というこの社会のシステムは精神と体力を休める意味でとても良いものだと感じています。

【有給休暇平均日数】

ドイツ:28-30日

日本:5-13日

この違いを見て、驚愕しませんか?ドイツに比べてこんなにも有給休暇日数が少ない日本ですが、これすらも消化できない人が多い印象を受けます。

何よりも、この貴重な有給休暇を、風邪や病気をした時のために取っておくのが暗黙の了解ではありませんか?

ドイツでは、風邪や病気で会社を休んだ日数はここに加算されません。

もちろん医師の診断書が必要ですが、医師から指示された日数は本当の意味での「病欠」として休みが与えられるのです。

【労働時間】

ドイツ・日本どちらも 一日8時間

日本では労働基準法、ドイツでは労働時間方で同じだけの勤務時間が定められています。

ですが、本当にそれが実行されているかどうかは、特に日本に関しては疑問が残ります。

職種やその時の状況によりもちろん事情は異なりますが、ドイツの人々は基本的に定時で退社、残業するとしても深夜に及ぶことはありません。また、1時間残業したなら、次の日以降その1時間を取り返して早く帰宅することができます。

ですから金曜日の午後に早退する人の数が多く、昼間からそこらじゅうで帰宅ラッシュ大渋滞が起きます。

私の主人(電子系エンジニア)の場合、基本的に8:00~17:00(休憩30分)で勤務しています。仕事の状況によって15~16時に帰宅することもありますし、トラブル続きで大変そうだった日でも22時には帰宅しました。日本人からすると、どうってことない22時帰宅は、彼らにとってはありえない時間帯で、ものすごく憤慨して帰ってくるのです。徹夜するなんてことは、もちろんただの一度もありませんし、彼の同僚にも他の会社の知人でも聞いたことがありません。

また、フレックス制が浸透しており、家族のいる人はそれをうまく利用して早朝から勤務し、午後には帰宅し子育てや家事の時間を作ります。パパが早く帰ってきて一緒に遊んでくれる、旦那が早く帰ってきて家事を手伝ってくれる(または子供と遊んでくれている間に家事ができる)、子供にとっても主婦にとっても理想的なスタイルです。

日本人は責任感の強さ、優れたモノづくりへの執念、助け合いの精神の結果、残業してしまうのではないかと思います。

一方のドイツ人は、就業時間内に業務を終えて家で自分の時間を確保することへの執着が強く、今日できなかったものは明日早朝から出勤して休み時間を削ってでも必ずカバーする、残業=無能、非効率、会社環境の悪循環の現れと捉えているのだと私は分析します。

どちらにも良さはあります。反対に言えば、どちらにも悪さもあります。

両方の美学を知ることで、この記事を読んでくださった皆様の今の環境を変える小さなひらめきとなれば良いなと思います。

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【ドイツの労働に関する記事】

先ほどの写真で紹介した日本人向け無料情報誌「ドイツニュースダイジェスト」のWEBでは、様々な記事や情報を読むことができます。

労働に関する記事をいくつかご紹介します。

なぜドイツの労働時間は短いのか

http://www.newsdigest.de/newsde/column/dokudan/backnumber.html

日本とこんなに違う!ドイツでの会社の休み方

http://www.newsdigest.de/newsde/news/featured/4820-946.html

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Instagram: igaayu_in_germany

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