イギリス 贈り物の習慣

公開日 : 2018年12月16日
最終更新 :

そろそろお歳暮が届く時期になりましたが、イギリスでもプレゼントは何かと入り用で、形式的に必ず贈るようなお歳暮感覚の習慣もあります。例えば日頃お世話になっている学校の先生へ、これまでの感謝の意を込めて年度末に贈り物をします。他校のお母さん方に事前に色々ヒアリングをしてみたところ、お金を出し合ってクラス単位で一つの物を贈るパターンと、個人個人で贈るパターンがあるようでした。

ウチの学校はどっちなんだろう、とその日が近づくにつれてさりげなく他のお母さんに聞いてみたところ、「軽い感じでちょっとした物をあげる人もいるわねぇ、私も一応あげてるわ」と言われ、そうか、そんなに皆が皆あげてる訳でもないのか、と少し安心したのですが、念の為に私もその「ちょっとした物」を用意しました。すると、今度は一体いつ、どのタイミングで誰が(子供からなのか、親からなのか)手渡せば良いのかという事が気になってきました。やがて登校最終日の前日になると、何やらきらびやかな包装紙や立派な紙袋に入った物を持参する親御さん達が目につき始めました。

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こちらにはお店での包装サービスが基本的にないので、何でも自分でラッピングまでしなければなりません。日本では手作りのお菓子をお裾分けする時ぐらいしかラッピングなんて機会がありませんし、何より不器用なので包む作業が大嫌いな私は、ちょっと小洒落た紙袋に直接入れるだけでいいか、と思っていました。なので、内心冷や汗をかいて帰宅次第すぐに、品物もきちんと包装しました。勿論、これも初めは知りませんでしたが、贈り物に必須のカードもしっかりつけて。当日の朝、子供のクラスまで入り先生へ感謝の言葉を述べながら、プレゼントを渡して無事任務完了です。

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と、これについてはかねがね噂で耳にしていたので、日本でもあり得ますし心の準備が出来ていたのですが、盲点は今のこの時期。クリスマスにも贈らなければならなかったようです・・!またまた他のお母さんに聞くと、「勿論勿論!必ずだなんて、そんな事は・・」と言いながら、車のトランクから引っ張り出してきたのは大量のラッピングされたプレゼント。(子供が多い家庭では、その分プレゼントも比例して増えます。)他のお母さん方も、まるでアマゾンの配達便のように子供達のクラスを周って、次々に手渡しています。しかも、渡すのはてっきり生徒側だけかと思えば、帰宅すると息子の鞄から何やら綺麗に包まれた物が・・。クラス以外に別途お世話になっている先生から貰ったそうです。

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これはもう、完全なるお歳暮ですね。日本では自分も含め、特に若い世代では年賀状同様、廃れつつある習慣ですが、こちらでは全く衰えるなんて気配は微塵もなく、脈々と受け継がれてきている大事な習慣なようです。贈る方もですが、貰う先生方も何かと大変なはずです。年度末の場合、休みが明けると既に違う学年に移っているにも関わらず、あげた先生からご丁寧に御礼のカードを頂き、中を見るとちゃんと「何々(あげたプレゼント)をありがとう。美味しく戴きました。」なんて事まで書かれていました。これをクラス分書いて用意するって・・もはや仕事の一部ですよね。

こんな形式的な事、年に二回もだなんてやめたらいいのに、と思ったりしてしまうのですが、少しはそういう風潮もあるのか、ウチの学校では校長先生の方針でクラス単位で予算を徴収するのはやめましょう、という配慮があるようです。けれど、実際は長い物に巻かれろで私もしようかと思うので、クラス単位の方が逆に分かりやすくて助かるのですが。年賀状替わりのクリスマスカードもそうですが、副担任などがいる場合は、その先生の分もしっかり忘れないようにしなければなりません。

クリスマスプレゼントは、イギリス式に本気で倣えば老若男女問わず、全ての人が対象で、かつ一人あたり三つも用意しなければならない家庭もあるそうです!曰く、一つはウケ狙いのギャグで、二つ目はもうちょっとマトモな物で、最後に本当に欲しいような本命を、といった趣旨があるようで、イギリス家庭に嫁いだ日本人女性の方達などは毎年大変そうです。私もこうして日々、一個ずつ現地のしきたりを学んでいるところです。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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