#15 コンポントムのコオロギ事情を追う・その1〜天然コオロギ編〜
コンポントムからこんにちは!
コンポントム特派員の舛屋彩子です。
コンポントムといえば、何が思い浮かぶでしょうか?
観光地で言えばサンボープレイクック遺跡、
特産品で言えばカシューナッツ。
しかし!それだけではありません!
コンポントムといえば、これ。
珍味?コオロギ。
以前も紹介しましたが、川沿いには巨大コオロギのモニュメントも。
銅像にしてしまうくらいの推しメン・コオロギ。
地元の方も、「コンポントムはコオロギが有名だよ!」という共通認識を持たれています。
食用コオロギも、市場や都市間バス休憩所周辺で毎日大量に売られています。
とはいえコオロギ、他の州でも売られているのをよく見かけます。
なぜこんなに特別な存在なのか??
ローカルに聞いて見ました。
現在も比較的緑豊かなコンポントムですが、以前はより多くの森に囲まれていたといいます。
もうひとつの名物像・ドムライチョアンクラー(トラを踏むゾウ)もコンポントムの豊かな自然の象徴。
昔は森が多く、多種多様な野生動物が生息しており
その中でも特にゾウとトラが多かったといいます。
内戦前は、川沿いには動物園もあったんだとか。
現在は公園になっています。
そんな緑あふれる時代の証言者の声がこちら。
ローカルの証言その①
「コオロギは落花生畑に好んで住む。
昔は落花生畑が今よりもずっと多かった。」
ローカルに証言その②
「私が高校生の時(今から十数年前)は、朝焼け時には毎日
ミリオンものコオロギが空を埋め尽くしていたんだよ!」
(〜ここでコオロギ豆知識〜
コオロギ博士・葦苅晟矢氏曰く、コオロギは飛んでもジャンプなどの跳ねる程度とのこと。
なので、この例は他の昆虫だったことが考えられますが、豊かな自然の裏付けですね!)
ローカルの証言その③
「養殖コオロギはどこにでもあるけど、コンポントムで特に有名なのは天然コオロギ!
市場で売られているコオロギは調理してから時間が経ってしまっているけど、
天然コオロギを直接買ってすぐ調理するのが最高にうまい!」
なるほど、かつての大自然の名残が「コンポントム=コオロギ」というイメージに強く関わっているようです。
ところで皆さん、これ何か分かりますか?
奥に白いプラスチックのシートが均等に並んでいるのが見えますでしょうか?
これ、実は野生のコオロギを取る仕組み!
これが夜になると・・・
こうなります。
(夜でも綺麗に撮れるカメラ欲しい・・・)
青い蛍光灯でコオロギを誘き寄せ、
コオロギが光に向かってジャンプ!すると、
この白いプラスチックシートにぶつかって下の水たまりに落ちる仕組み。
おお、大量の虫・・・!!!
〜ここでコオロギ豆知識〜
コオロギは水に弱い!
夜になると国道6号線沿いなどが煌々と光っていますので、
夜に都市間を移動する方は是非気にして見てみてください。
・・・実際に仕掛け主(?)とお話ししてみたい・・・!
会う人会う人にコオロギについて質問。
なんだこのコオロギ女はと思われたことでしょう。
そして有力情報が!
「◯◯(地名)のところだったら夜8〜9時頃になるとオーナーが現れるよ〜」
行ってみました。
・・・会えず。笑
しかし、もう一つ思い当たるところがあったので一か八かで行ってみると・・・
暗がりの中に、マチャッ(クメール語で主の意)いたーーーーー!
運が良き自分をあの時は褒め称えたかったです。笑
そして、2日後改めて訪問したい旨を伝えると、快諾。
急に突撃したにも関わらず・・・なんて優しい方々なんでしょう。
後日訪問。
月は半月に満たないほどの月明かり。
面白いことに、月明かりがない日はより多くのコオロギが仕掛けに入るんだとか。
昆虫たちの目に光がよりハッキリと輝くからでしょう。
月明かりも関係しているとは、コオロギ、奥が深い!
そして風が弱いと、コオロギが意のままに跳べるので(?)沢山獲れるそう。
こちらもコオロギキャッチの仕組みは同じ。
蛍光灯+プラスチックシート+水たまり。
こちらの農家さんは、このような仕掛けが12ほどありました。
私たちよりも先に先客がいました。
仕掛けに入った昆虫を狙った巨大カエル。
顔にばちばち虫がぶつかってきて
隙あらば口にも入って来るインセクト達。
でもそんなの関係なく感じる程の、
農家さんの興味ふか〜いお話が聞けました。
是非お楽しみください!!!
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現在は乾季なので、一晩で獲れるコオロギの量は約1キロ。
雨季だと草が沢山生えるのでその分コオロギも多くなり、
なんと4~5キロが獲れるそう!
1キロのコオロギ・・・一体何匹?
「200~300匹くらいかな?」とのことでした。
こちらの農家さんがコオロギの収穫を始めたのは2年前。
ここでは、もち米・マンゴー・きゅうり・豆なども栽培しているそう。
〜ここでまたコオロギ博士の豆知識〜
このようにコオロギキャッチ(勝手に命名しました)を農作物畑で同時に行うことは、
害虫駆除にもなりまさにwin-win!
コオロギ農家さん1日の流れは・・・
朝5:00頃 仕掛けにかかったコオロギを取る。
もちろん、蛾やオケラなど他の虫も入ってしまうのでこの時に選別→洗う。
(カンボジアではオケラも食べます)
仕掛けに入った蛾などその他の昆虫は、鶏のエサに。
無駄がありません!
オケラとコオロギの違いが分からないでいたら、
仕掛けプールから持って来てくれました。
右がコオロギ、左がおけらですね。
(間違っていたらコッソリ教えてください笑)
子供でも手馴れたコオロギの掴み方。
私も真似して掴んでみました。
6:00-6:30頃 バイヤーが来て購入。
特に手は加えず、素のまま袋に詰めての引き渡しだそう。
バイヤーは、州都ストゥンセン市内から毎日1-2人は来るとのこと。
ここでは、コオロギ1キロあたりの単価は2.5ドル。
仮に、雨季に1晩で5キロのコオロギが収穫出来ると過程した際の
1ヶ月のコオロギ収入は・・・
2.5ドル×5キロ×30日=$375!
ちなみに電気代は、家庭使用分も含んで1ヶ月$40-とのこと。
仕掛けのメンテナンスの頻度は1ヶ月〜1ヶ月半。
水たまりの水は、3〜5日での交換。
害虫駆除にもなり、結構な収入源になります。
こちらでは農耕用に牛も飼育しており、
牛の糞は畑の飼料となるのは勿論、コオロギが食べる。
ああ、素晴らしい食物連鎖。
1983〜1984年、コンポントム全体では1000キロ以上(!)ものコオロギが収穫できたそうな。
当時はベトナムやタイなどにも輸出していたそうですが、
現在は森林伐採などにより個体数が減少。
カンボジア国内のみの消費に留まっているよう。
ここで、素朴なギモン。
「養殖と天然の違いって何??」
聞いて見ました。
「養殖モノは、柔らかい。天然物は、肉が固く締まっている。
鶏肉と一緒だよ!天然モノの方が味がいい。
養殖モノって健康に被害を及ぼすこともあるでしょう?天然がいいんだよ。」
と、オーナーの年配の男性。
自然の摂理(?)はコオロギ界でも共通。
私の故郷、秋田県の比内地鶏を彷彿させる発言でした。
(父親の実家が比内地鶏の養鶏場なんです笑)
天然モノ(放し飼い)の方が動き回れるので運動量も自然と多くなりますしね。
栄養素も違って来るんだろうな・・・
興味深い。
そして、こちらで栽培するお米は農薬は使用していないとのこと。
〜コオロギ博士の豆知識〜
農薬が付着した草などをコオロギが食べると、コオロギが産卵する卵の数が減少。
農薬の使用がコオロギの個体数減少の一因に。
・・・なるほど!!!
文明の功罪がここにも。
なんて、月明かりの下、草むらにゴザを引きながら
青々と光る蛍光灯を横目に話しているとなんとホタルまで登場。
最高なコオロギキャッチ取材でした。
次回は、コオロギ養殖農家についてです。
お楽しみに!笑
ではまた〜
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