オリンピック招致レース

公開日 : 2013年09月09日
最終更新 :

「おめでとう。イスタンブールにとっては残念だったけど、日本になって嬉しいよ。」「イスタンブールじゃないなら、東京で嬉しい」「カズミ、おめでとう」

2020年のオリンピックを勝ち取った都市があっさりと発表されたあと、人々は足早にイベント会場であったスルタンアフメットを去っていきました。私は日本への中継の仕事で現場にいましたが、イスタンブル推しだったもので、なんだか息子が希望大学に落ちたような重い気分を胸に抱いてました。が、インタビューのためにマイクを向けたトルコ人たちや、周りで仕事をしていた知り合いなどがみんな、何よりもまず祝福してくれるんですね。なんか余計に切なくなっちゃいました。

最初に過半数を取れる国はないとは予測されていましたが、マドリッドとの再投票に勝って東京との一騎打ちとなったとき、会場には「イケるのではないか」ムードが流れていました。前評判でも、最初にマドリッドが落ちれば、イスタンブール有利の声が多かったのです。マドリッドとイスタンブールの票はかぶっていて、マドリッドが落ちれば、ヨーロッパや南アメリカの票はロビー活動の成果や、放映時間/時差の問題からイスタンブールに流れると見込まれていたから。プレゼンテーション評価も、東京はとても感動的なプレゼンをしたけれども汚染水漏れの心配を完全に払拭はできなかったとされていました。

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過去立候補したどのときよりもイスタンブールはプロフェッショナルな準備をしたと思うけど、残念ながら結果はご存知の通り。意気消沈した人々に敗因に関してマイクを向けると、すぐには言葉が出てきません。「今度こそ取れると思っていた」「私たちは準備ができていた」「トルコ人って世界中に嫌われているのね」「イスラム教国にこういった栄誉が与えられることはないのさ」・・・経済成長につれて最近はちょっとナリを潜めていたトルコ人の欧米コンプレックスがまた顔を出し始めたような発言が続きます。でも最後には「悲しいけど、でも東京でよかった。日本は大好きだから」って言ってくれるんですよね。

中継車スタッフはスペイン人でしたが、日本にも行ったことがあるという彼は投票前「ぼくはスペイン人だけど、ぼくの好みで言うならイスタンブールだね。東京も技術の革新と言う意味ではすごく楽しみだけど、この風景、この活気。こんなハッピーシティはないよ」と言ってました。敗因はいろいろ考えられると思うけど、イスタンブールだったら良かったと思わずにはいられない。スローガン、ブリッジトゥゲザーはこの国の魅力を良くあらわしていたと思うけど・・・ブラジルの政情不安もあってなのか、2国続けての新興国はなし、手堅い選択だったなという印象です。

ただオリンピックを取ろうが取るまいが、トルコは建国100年の2023年に向けて膨大なプロジェクトを進めていきます。オリンピック2020はその計画の一角をになうに過ぎないと言う見方もありました。ではまた4年待ちましょうか。建国100年の前夜祭が、後夜祭になるだけ。あきらめないという声は今から聞かれます。2024なのかいつなのか。いつか取れるといいねと、思ってしまう夜でした。

落選のニュースは今迄で一番大きな紙面を埋めることに・・・。

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