頭の片隅に入れておきたいビクトリア公園の像

公開日 : 2015年12月07日
最終更新 :
筆者 : 武田信晃

香港の随一の繁華街、銅鑼湾(Causeway Bay)にビクトリア公園という大きな公園があります。サッカー場、バスケットコート、テニスの国際試合が開かれるほどの大きなテニスコート、水上ラジコンが出来る池、スイミングプール、噴水など緑の少ない香港市民の憩いの場となっています。旧正月前は巨大な花市が開かれる場所としても有名です。

ここの一角に、大きな女性の象があります。大英帝国はハノーヴァー朝の第6代の女王、ビクトリア女王の像ですが、香港激動の歴史を象徴するものです。しかも日本人には耳の痛いエピソードも含んでいますが、それを知っておくこともまた重要なので紹介したいと思います。

この像はイギリスの統治下にあった香港がビクトリア女王60周年を記念して中環(Central)の皇后像広場(Statue Square)に設置しました。しかし、1941年、太平洋戦争で日本が香港を接収します。香港を統治下に置いた日本軍はこの像を武器として利用するため日本に送りました。

001 victoria statue-1.jpg

1945年に日本が敗戦すると、この像は再び香港に送り返されることが決定します。戦時中、溶かされて武器にされなかったのです。元の場所に戻された後、1957年ビクトリアパークの完成に伴い現在の場所に置かれることとなりました。

香港には日本軍との戦いに使われた砲台などもありますが、こういった戦争を象徴するようなものは街の中ではあまり見ることができません。そういった意味でこの像はそういった歴史を感じることのできる像といえるでしょう。もちろん、日本人にとってあまり気分のいいものではありませんが、日本軍に接収された経験を持つ香港が今でも親日都市であることを感謝しつつこの像をみると、また少し違った感覚を持つのではないでしょうか?

アクセス:MTR銅鑼湾駅下車(E出口)。ビクトリア公園西側入口から徒歩数分。道路を挟んだ反対側には香港中央図書館があります。

12月お題"スタチュー/像"

筆者

香港特派員

武田信晃

新聞社や香港現地邦人紙の記者/編集者を経て、フリーランス・ライターとして活動中。スポーツ、グルメ、エンタメまで幅広くカバーしている。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。