【番外イギリス・バース編】世界遺産バース・アビー 「梯子をのぼる天使」に願いを込めて

公開日 : 2018年03月14日
最終更新 :
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ベトナム・ハノイ特派員ブログですが番外でイギリス編をお送りしています

イギリス便り最終便です。本日は町にそびえる世界遺産の大寺院、バース・アビーをご紹介します。

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バースアビーはローマンバースやパンプルームに広場で隣接し、人々が常に集まる街の中心的役割を担っています。礼拝ほか、コンサート、または地元の学校の終業式など各種イベントにも使われ、市民に親しまれる寺院でもあります。

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その歴史は古く、757年にアングロサクソンの修道院として始まった後、千年を遥かに超える長い歴史の中で支配者が変わり、時代による栄枯盛衰とそれに伴う変遷、改革、そして近代においては二つの世界大戦をも生き抜いてきた寺院です。1860年代に最後の大々的な改修が行われ、現在の美しい姿に至りました。

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George Gilbert Scott氏が手がけた、イギリス建築の粋を尽くした聖堂です。1864年からおよそ10年の年月をかけて建てられました。圧巻はヴィクトリアン・ゴシックとも呼ばれる荘厳な内装。垂直に伸びる端正な線が強調されたパーペンディキュラー様式の柱や壁面、その天上高くには、繊細なレースの扇を広げたように幾重にも交差した、優美な装飾の天井を見ることができます。

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寺院の大部分を占める窓は52あり、壮麗なステンドガラスが施されています。中でも北側の窓に描かれた、イギリス初の王「エドガー王の戴冠」のモチーフが有名です。

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週末にはバース聖歌隊によるコンサートなどが開催されています。特に人気はクリスマスシーズン。11月下旬か12月上旬頃に開催されるヘンデルの「メサイア」全曲演奏は地元の人に大変人気で、チケットが早い時期に売り切れとなる風物詩的コンサートです。高い天井から降るように聞こえてくるハレルヤコーラスは感動的。長いコンサートになるのでトイレが聖堂内にないので心配ですが、とても素晴らしいものです。また、クリスマスに開催されるキャロルのコンサート「Nine lessons and Carols」は、聖歌隊ファンには特におススメ。イギリスらしさ溢れるクリスマスを心から堪能できる素晴らしいコンサートです。(バースアビー聖歌隊のCDも販売されています)

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バースアビーのクリスマスは、特別な季節ならではの華やぎに満ちます。広場に大きなツリーが設置され、毎年11月下旬から12月初旬にかけて、クリスマスマーケットが開催されます。大聖堂の周りに屋台がたくさん並び、地産のパテやハム、チーズ、ワイン、地元作家によるクラフト、スパイスなど、クリスマスにかかせないグルメも、飾りも、贈り物も揃います。寒い身体を温めるマルドワイン(イギリスのホットワイン)や手作りハンバーガー屋台で軽食を取りながらショッピング。夢のような時間が過ぎていきます。

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最後に西側のファサード(大聖堂正面)の「天使」のお話をします。

バースアビーの正面ファサードの両側に、ハシゴを上り下りする天使たちの彫刻があります。「どうして翼があるのに、わざわざ必死によじ登ってるのだろう」そう単純に思ったのが興味の始まりでしたが、旧約聖書の「Ladders of Angeles(天使の梯子、またはヤコブの梯子)」をモチーフに作られたものと知りました。当時のバースアビーの司教が、建設の際この説話に似た夢を見たことが、バースアビーの装飾に用いられた理由と伝えられています。

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旧約聖書の中ではこのような話になっています。

ヤコブが旅の途中で野宿して眠りに落ちると、天と地を結ぶ梯子を上り下りする天使の夢を見た。その傍にいた神が「あなたが今横たわっているこの土地を、あなたとその子孫に与え、あなたを守ろう」と告げ、ヤコブを祝福した。

そのエピソードには、「あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ戻そう。わたしはあなたに約束したことを果たすまで、決して見捨てない」という続きがあります。

参考:旧約聖書・創世記28章10節より

この話は後に知った話でしたが、私はいつもバース・アビーのハシゴを登る天使に「またこの場所に戻れますように」と祈っていました。そしてまた今回の滞在の最後にも「ここに戻る」ことを祈りました。さて、この願いはいつかまた叶うのでしょうか。

その日まで。

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約半月に渡り、番外イギリス編にお付き合いいただきありがとうございました。多くの人がバースを訪れるきっかけになれれば幸いです。この後は「地球の歩き方」ニュース&レポートでも、バースを引き続きお伝えします。近日中にアップを予定しておりますので、こちらもどうぞご覧くださいませ。

https://news.arukikata.co.jp/column/?w=139

次回は通常のハノイブログに戻ります。どうぞお楽しみに!

Photos & writing © Midori Nakagawa

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