【番外イギリス・バース編】眺めのいい街 華麗なる世界遺産ロイヤル・クレセント&サーカス
▲ゲイ・ストリートを北へ上り切った先に広がる住宅「サーカス」
ベトナム・ハノイ特派員ブログですが番外でイギリス編をお送りしています
イギリス有数の美観を誇るバースの自慢は、優雅な建築が続く街並みです。ジョージアンと呼ばれる18世紀から19世紀、貴族やブルジョアが集まる一大社交場として華やかな時代を迎えたバースは、バカンスのために彼らが過ごす邸宅が数多く建てられました。その代表は、三日月のような美しい半円を描いてそびえる集合住宅「ロイヤルクレセント」、そして円形のタウンハウス「サーカス」です。
これらのバースの都市景観はユネスコ世界遺産に登録され、数々の映画やコスチュームドラマのロケ地としても登場します。本日は、この類まれな景観が美しく保存される、バースの建築をご紹介します。
▲優雅な街バースを代表する世界遺産建築「ロイヤルクレッセント」
ロイヤル・クレセント(The Royal Crescent)
1774年に建てられた、バースの都市景観を代表する建築です。イギリス人設計士ジョン・ウッド(息子)が手掛けた傑作で、ローマや古いイタリアのスタイルを模範とした新古典主義"パラディオ様式"ならではのエレガントな佇まいを見ることができます。眼前に広がる青々とした芝の庭園とのコントラストが見事です。
長さ約150m、30戸が弧を描いてつながるテラスハウスは、当時のセレブ達が居住したり、バカンスのための別荘として利用しました。ロイヤル・クレセントの向かって一番右の部屋は「ロイヤルクレッセントNo.1」と呼ばれ、18世紀当時の内装を再現した博物館として公開されています。18世紀さながらの居間やダイニング、キッチンなど、当時のセレブの優雅な暮らしぶりがうかがえます。バースの人気スポットのひとつなので、休暇のシーズンには大変混み合いますので、内覧の際は、時間に余裕を持って出かけるのがおススメです。
入館案内詳細は下記URLでご確認ください。
☆Information☆
Royal Crescent No.1
http://no1royalcrescent.org.uk/
18世紀後半の貴族の生活、社交界を描いたキーラ・ナイトリー主演の映画「ある侯爵夫人の生涯」にもロケ地として登場します。ロイヤル・クレセントの印象的なシーンと共に、当時のバースの社交界の様子が生き生きと描かれています。
ロイヤル・クレセントは現在も使用され、住人が実際に生活をしています。間取りは一戸ごとに縦割で、地下から3階まである4層の住宅になっています。娘が通っていた高校の友人が、ロイヤルクレッセントの住人でした。遊びに行っては時々泊めていただいていましたが、内部は想像以上に広い造りで、階段が思いのほか急で上り下りが大変だったとか。それでも窓から広がる一面の芝生が開放感溢れ、とても美しかったとのこと。ロンドンオリンピックのトーチリレーも、この前を通って行きました。
ロイヤル・クレセントには宿泊施設もあります。ロイヤル・クレセント体験を熱望する方はぜひ宿泊を!
☆Information☆
The Royal Crescent Hotel & Spa
https://www.royalcrescent.co.uk/
サーカス(Circus)
丸い芝生の広場を中心にぐるりと囲むように作られた円形状のタウンハウス「サーカス」は、ジョン・ウッド(父)が手がけました。14年の歳月をかけ1768年に完成した、ジョージアンを代表する建築として知られています。南、西、北東に伸びるストリートを挟んだ3つの棟で構成された建築は、中心の広場にそびえる大木も美しく、クラシカルなデザインの中に、時を超えたシンプルモダンを感じさせる、洗練された建物、エリア全体のデザインが見事です。
▲社交の舞台となったアッセンブリー・ルーム
サーカスから西に延びる通りはロイヤルクレッセントへ、北東へはかつて舞踏会が行われた「アッセンブリー・ルーム」があります。アッセンブリー・ルームには「ファッション・ミュージアム」が併設され、古い時代の貴族のドレスから、現代に至るセレブのファッションを網羅。イギリスの貴族文化やファッションに興味がある人は見逃せません。
美しい刺繍やレース、流行を取り入れたドレスや部屋着など、17世紀から21世紀までのファッションが並ぶ展示が見事!当時のドレスを試着できるコスプレ(?)コーナーも人気です。
南に延びるゲイストリートは美しい建物が並ぶなだらかな坂道。ジェーンオースティン・センターを通り、賑やかな街の中心地に近づいていきます。ゲイ・ストリートに交差するジョージ・ストリート、近隣のクイーンズ・スクエアなど、この周辺には洒落たカフェや雑貨店なども並びます。足を止めてコーヒーブレイクやショッピングも愉しんでみては?
ジェーン・オースティンセンター(Jane Austen Centre)
ジェーン・オースティンの文学作品ファンの方、必見のミュージアムです!
1801年から1806年の間、ジェーン・オースティンは家族と共にバースに滞在し、「説きふせられて」「ノーサンガー・アビー」を執筆しました。オースティンは社交界の空気が苦手で、カントリーサイドの静かな生活を愛し、バースではあまり幸せではなかったと伝えられています。定かではありませんが、ジェーン・オースティンが家族と共に住んだ家もゲイ・ストリート周辺にあったと伝えられています。
上階にはティールームがあります。ジョージアンを彷彿させる、とてもオーセンティックなムードの中で美味しいお茶がいただけますよ。
サーカスのロマンティックな夜景。
バースの夜に、カラフルなイルミネーションやネオンサインは似合いません。恐ろしく美的な街づくりがそこに存在しています。
本日はここまでです。
明日は、カズオ・イシグロ原作の映画「日の名残り」のロケ地となった、美しすぎるマナー・ハウスをお送りします。
Photos & writing © Midori Nakagawa
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