冬に美味しいと感じたベトナムごはん「ブンダウ・マムトム」

公開日 : 2018年02月06日
最終更新 :
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最近、ハノイは寒い日が続いています。ハノイは10度以下になると子供たちは休校になるそうで、ちょっとご飯を食べに行くと、お店などにちょこんと座っていたり、お母さんのお手伝いをして働いていたりします。今日はそんなお昼どきに食べた「ブンダウ」をご紹介します。

Bún đậu mắm tôm

ブンダウ・マムトム

ダウは豆腐という意味で、ここでは揚げ豆腐のことです。Bunという細い米粉でできた麺と共に食べる、ベトナムの庶民的なローカルフードです。タレはマムトムというエビを発酵させた魚醤を使います。マムトムは香りも強烈ですし、味も大変塩辛いので、ライムを絞り、上手に付け具合を加減していただきます。

※ マムトムは食べ慣れると独特の甘みやうま味が感じられるようになり、大変美味しいと思います。

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日本の木綿豆腐をしっかり水切りしたような、少し固めのお豆腐を3㎝幅ほどに切り揚げます。この店はマムトムに、この揚げ油をほんの少し足してタレを作ります。自家製と思われる、大事そうにカメに保存されたマムトムが美味しく、この足した油のコク具合も好きで通っています。

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ブンダウなどローカルごはんの多くは、街角にある屋外に小さなイスと低いテーブルを並べたもの、もしくはドアのない吹き抜けの食堂になるので、思いのほかハノイでは季節感を感じてごはんをいただくことになります。

そんな日々の中、今年初めて「ブンダウは冬に美味しい」と感じました。実際は、一年中美味しいのですが。

寒い、と大判のショールで身体をくるんで低い椅子に腰けて注文を済ませます。待っている間は、ダウ(豆腐)を油に滑り込ませる様子をじっと見つめます。ついでに "さつまあげ"も指差しで注文し、それも油の中へ。その間、キュウリを小さなナイフでカットし、ゆで豚は大きな包丁でスライス。シソのようなハーブを手際よくお皿に盛り付け完了したころ、揚げたてのダウがお皿に盛られます。

※ ゆで豚のスライスは店によりない場合、または別注文の場合があります

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アツッ。

一口目にいただく、このアツアツの揚げ豆腐の食感。カリッとして、アツッと来て、じんわり。寒い空気を含ませて頬張る熱いブンダウと、添えられる新鮮なきゅうりの冷たさのコントラストが、またオイシイ。

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ある日、いつものブンダウ屋台に出かけると、そこでいつも料理を作っている若くて物静かな奥さんが「今日は、これを食べてみない?」と、小さな声で話しかけて来てくれました。もうひとつの店の自慢メニューのようで、自宅で作って、それを大きな炊飯ジャーに入れて持ってきているらしく、そこからすくって小鍋に入れ、温めなおして出してくれました。

それはGiả cầyという、豚足を煮込んだシチューのような料理で、ベトナムでは伝統的な家庭料理として人気があるようです。(少しづつ減ってきているようですが)犬肉を食用とするベトナムでは、この料理が「犬肉に味が似ている」と言う理由で「偽犬肉」などと言われるようです。

私は犬は食べないのでその真偽がわかりませんが、ターメリック、ガランガム、ウコンなどの香辛料、マムトムのなどのエビの魚醤などの調味料など、なかなか個性的なものが複雑に入っているらしく、その生まれて初めて食べる味を伝えるために必要な表現がうまくイメージできません。

何度も口に運んで言葉で考えるのですが。

香りはシナチクを強くしたような、アジアで出会いがちな、酸っぱいような独特のツンとしたタケノコ料理の匂い。それをもう一段ツンとさせたような鼻を刺す匂い、が最初の印象です。しかし食べ始めると、しっかりと煮込まれた豚足から取れるコラーゲンでしょうか。とてもまろやかな舌触りで、美容によさそうな味わいです。やがて香りは食感にマッチするにつれ気にならなくなり、ベトナム風豚足シチューというか、身体がものすごく温まる、コクのある驚くべき料理だと思いました。こちらではこのシチューにブンを浸して食べるのが定番です。なぜかシチューにご飯、を頭のどこかで思い出しながらいただきました。奥さん自慢のお料理、おいしかったです。ごちそうさまでした。

お値段は、どちらも30000ドン(約150円)です。

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今日のブンダウは、近所のいきつけ街角屋台の物ですが、旧市街など観光で立ち寄りやすい場所にもブンダウ食堂や屋台がありますので、ぜひ味わってみてください。洗練されたベトナミーズレストランでもメニューにある場合もあります。ぜひ、ベトナム風揚げ豆腐を食べてみてくださいね。

日本の皆さまも、温かいものを食べてお元気で。

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▲ オペラハウスに近いカフェ「Au Rac Cafe」のお上品なダウ(揚げ豆腐料理)

Photos & writing © Midori Nakagawa

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