ベトナムのあったかローカル鍋 Lẩu(ラウ)でカラダ元気に

公開日 : 2018年01月29日
最終更新 :
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▲私好みのローカル食堂の鶏鍋

ハノイでは、冬=鍋が流行る、というわけではありません。一年中美味しく食べるもので、友人や家族、パーティなど大勢で食べるのが定番です。それでも暑い季節にご紹介するよりは、冬の方が見た目も温まりますね。秋のような気温が続くゆる冬のハノイから本日はベトナム鍋料理 Lẩu(ラウ)をご紹介します。

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▲一般的なローカルレストランのクリアスープ系の鶏鍋

まずは値段の話。ラウはベトナムのローカル料理としては比較的値段が高いと思います。1セット単位の料金設定で、基本的に3人以上など大勢で食べる量で提供されています。値段は店のステイタスや選ぶ具材により変わると思いますが、1セットで350000ドン(約1700円)~400000ドン(約2000円)前後でしょうか。大勢で食べればリーズナブルですが、1人で行ってもセットの料金になるので、一人旅の旅行者には辛い所です。

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▲この日は2人で鍋を囲みましたが食べきれないほどの鶏肉の量

具はバラエティに富み、ビーフ、豚、チキン、かえる、魚介など、肉類&シーフードをハーブ野菜と共に食べるというイメージですが、おしゃれなお店へ行けば南部料理の美しく盛り付けられたエディブルフラワーを使った野菜鍋ラウ・ホア Lẩu Hoaなど、洗練された鍋も食べられます。

鍋と言っても、店によってスープの味、具の様子、しゃぶしゃぶ風、煮込み風などかなり違います。麺も一緒に添えられますが、その麺も店により、細い麺(ブン/ミエン)、幅広の麺、インスタントラーメンなど様々です。日本のように〆でご飯を入れて雑炊にして食べられるメニューもあり、好みの麺やご飯を注文することができるお店もあります。

その中で、私が「鍋屋さんはここぐらいしか出入りしていない」ため、旅情報として選択肢が広がりませんが、ラウの一例として参考にしていただけたらというお鍋をご紹介します。

話題性、新しさなどの特徴はなく、いかにも普通の地元食堂という感じの店ですが、仕事で落ち込んだある日、「ベトナム鍋でも初トライして元気出すか」と、ふらりと気まぐれに入って食べたら元気が出たお店です。"かえる鍋"(lẩu ếch )がメインメニューのようですが、私はチキン(lẩu gà)を注文します。

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いきなり色々な物が入って濁ったスープが湯気をもうもうと上げぐつぐつと煮立っています。

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おおよそ女子向けじゃないプラスチックのカゴに洗ったクレソンが山ほど積まれて登場し、バインダー(幅広とうきび麺)とインスタントラーメン1袋がクレソンの上に無神経に乗っけられ、まったくインスタ映えしない状態でテーブルに出されます。備品は穴あき&穴なしお玉です。

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すでに鶏ガラが入って煮立ったスープ鍋の中に、更にスパイスがまぶされた鶏肉をドドンと入れて蓋をします。

「写真を撮るからまだ入れないでくれ」という言葉をガン無視して、店員が肉を鍋にすべて放り込みました。

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お肉が煮えた後は、自由にクレソンやバインダー(麺)を食べる分づつ鍋に入れ、好みの具合になったら穴あきお玉ですくい、小さなボウルに取っていただきます。穴なしお玉ではスープなどを取るなど自由にどうぞ。

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私はこのバインダー麺が大好きなので、まさに好みのお店です。インスタントラーメンはいつも食べきれないので使いません。

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塩と唐辛子の小皿には添えられたライムを絞って混ぜ合わせたタレを作り、好みに応じて付けて食べます。つけなくてもスープに味があるので十分ですが、このタレは万能。ピリッとした酸味と辛みが絶妙です。鶏肉など大きな具につけて食べると美味しさ倍増です。

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ラウはお店によってスープがかなり違います。私はこの店の様々な具で作られたコクのある味にすっかり温められてしまいました。

骨付き鶏のぶつ切り、干ししいたけ、ざく切りの玉ねぎ、トマト、パイナップル、ジンジャー、青物の香草などが複雑に入って煮込まれています。味はコクがあるのにまろやか。マイルドなトムヤムクン(タイ料理)のような、うっすらとした辛み、ふわりとオリエンタルな香り、そしてなんともまろやかな甘みがあり、スープだけでザル一杯のクレソンを完食してしまいます。ちょっと体力も精神力も足りない日に、ここのスープでクレソンをモリモリ食べると元気が出ます。

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私がもう一つ、このお店を好きな理由があります。初めてここを訪れてひとりで席に座っていると、店の若い男の子が「3人、3人」とカタコトの英語で説明をしてくれました。"鍋は3人前からしかないよ"という意味だったのでしょう。他店では1人で来ようと我関せずで、注文されたままに鍋を出しますが、この青年は「ひとりじゃ食べきれない。もったいないよ」と心配してくれたようです。「ひとりはだめ?じゃあ、誰かを連れてまたにします」と、席を立とうとすると、兄貴分のような男の子が出てきて「2人分で作ってあげれば」というようなことを言い、「2人分ならできる。それでもいい?」とアレンジをしてくれました。いつのまにかチャージされてしまう"お手拭き"や"ピーナッツ"など、特別なサービスは何もありませんが、家族的な店ならではの融通が利き、ひとりでローカルごはんを食べ歩く身にはうれしい心遣いでした。

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ある日曜の朝、散歩がてらこの鍋屋さんの前を通ると店は満員御礼。外までテーブルを出しストリート鍋パーティーで盛り上がっていました。「さすがに、私ひとりでストリート鍋パ参戦はハードル高いな」とぼんやり考えながら歩いていると、「チキン?」と声をかけられました。振り返ると、例のお店のお兄さんです。チキン鍋を頼むので「チキン」と私のことを覚えた様です。「満員御礼ね」と言うと、通じたか、通じなかったか、とりあえずお互い笑顔で頷き合い、気持ちを通わせました。

この鍋屋さんを好きな理由は、味がワイルドで私好みだったこと。そして、最初に来店した時の自分の気持ち、偶然それに寄り添ってくれたスタッフなど、「好き」には様々な状況と意味合いが含まれていると思います。

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チキン?

イエス、チキンです。(閲覧注意だったでしょうか)

ベトナムでは普通に鶏の手が料理に使われます。

この店だけではありません。苦手な方は海鮮などをご注文ください。

ハノイには、流行系の都会的できれい目のお店から、いかにもローカルな食堂まで、様々な鍋のお店が市内のあちらこちらにあります。Lẩu(ラウ)の看板を見つけたら、是非気軽に味わってみてくださいね。できれば3人以上で!

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Photos & writing © Midori Nakagawa

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