サパの旅 のどかな棚田が広がる村の散歩道
月曜から4日間に渡り、10月に訪れたサパ旅行記をお届けしています。
本日はスナップショット集、サパ近隣の山に点在する山岳少数民族の村の風景をお伝えします。この日は、ハンサムで優しいガイドさんに案内してもらい山村をゆっくりと歩きました。ベトナム北部山岳地方ならではの、のどかな棚田の風景をお楽しみください。
ベトナムの山岳少数民族について
ベトナムは数多くの民族で成る国です。国民の90%を占めるキン族を含めた54の民族があり、この北部山岳地方にはモン族やザオ族の人々が暮らしています。自生する草で染めた黒い服をまとう黒モン族、鮮やかな赤い布を頭にかぶった赤ザオ族、多色使いで色鮮やかな服を着た花モン族など、独特で美しい装飾を施した手製の衣服を身に着けています。サパの街でも見かける事ができますが、彼らが住む村を訪ね、雄大な自然が広がる棚田を歩くツアーが人気です。
サパにほど近い静かな村、マーチャ村からタフィン村へ
サパにほど近い黒モン族が住むマーチャ村へ。お土産店などがない静かな村で、この日は観光客がおらず、ゆっくりと散策を愉しみました。しかし10月中旬。稲がすでに刈り取られ、棚田は荒涼とした寂しい風景。「4週間ぐらい早ければよかったね」とガイドさんに言われました。
長くゆるやかなカーブを描く道は、棚田、畑しかない広い風景。家畜が方々野放しにされ、水牛の群れ、路肩に横たわる豚、犬、田畑の隙間を走り回る生まれたてのアヒルの子など、非常に素朴でのどかです。この村は花の栽培も盛んで、この季節はユリの出荷で忙しそうでした。その花はハノイへ送られるのだと聞きうれしくなりました。
子供たちがのんびりと歩いています。ガイドさんに「この子達はいつか街へ行きたい、って思うのかしら」と聞くと、「だろうね。でも、そうして町へ行っても、皆帰って来てしまう。村で育った子たちが街になじむのはとても難しいことなんだ」と答えました。
棚田の風景を延々と歩き、ようやく家屋を見かけました。中では黒モン族の母娘が庭先で縫物をしている様子。なにやら話をしながら、ひと針、ひと針、手を休めずに縫い続けます。素晴らしく細かな刺繍が施されたモン族の衣装や小物は、こうして作られているのだと実感しました。
あひる、犬、豚、バッファロー。野放しの家畜がいたるところに
すでに稲刈りが終わった10月の棚田風景
「10月がベストシーズンって聞いたのに、何もない棚田がどうしてサパのベストシーズンなの?」と、ガイドさんに意地悪な質問をすると、「雨が降らなくて涼しいからだよ」と答えました。「それは住人にとってのベストシーズンじゃない?」と聞くと、「誰にとってもベストシーズンだよ」と。
「じゃあ、あなたが一番好きなサパの風景は何月?」
と尋ねてみました。
彼にとっては5月中旬~6月だそうです。
田植えの頃、若い苗が一面に植えられた季節が好きなのだとか。それがどんどん育つ8月、刈り取りの9月まで、雨さえ降らなければ最高の景色が広がるそうです。
村の入口からずっとついて来た黒モン族の奥様たちです。カタコトの英語、カタコトのフランス語で話しているうちに、一緒に歩くのが楽しくなりました。期待していた棚田が丸裸、更に曇天で光が足りず、ガッカリする私を応援してくれながらの約2時間。写真をチェックするたびに一緒にのぞき込み、"Très Jolie!"(きれい!)などフランス語で励ましてくれました。
村の出口でお別れの時に、「私たちの品物を買って欲しい」とお願いされました。この"本題"に入るまで、なんと長い時間一緒に歩いてくれたでことしょう。最後は広い棚田を前に店開きをしていただきショッピングタイムです。色鮮やかで細かな手仕事のクラフトの数々に驚きました。
お買い物が終わると握手をしてお別れです。何度も握手をして、何度も振り返りながらのお別れでした。どうかずっとお元気で。
赤モン族の村に佇む廃墟の修道院 Ta Phin Abbey
ここからは赤モン族が住むタフィン村です。目を引いたのは廃墟の教会でした。
1942年フランス統治下時代に建設が始まった古いカトリック修道院跡。修道院には日本から来た修道女たちが住み、サパの気候や土を調べ、この地での農業の普及に従事していました。しかし、情勢の悪化により修道女たちはハノイへ移り、1947年に修道院は閉院となったそうです。
こうして約3時間の棚田ウォーキングが終わりました。
マーチャ村散歩の道中で黒モン族の奥様が野草を摘んで作ってくれたハート。
歩きながらサッと作ってくれたのですが、しっかりと編み込まれた野草。その手先の器用さに驚きました。少数民族の女性たちは足をよく使い、歩き、手先も良く使い、働く、と感心します。
昔々の学校帰りの道草。
シロツメクサのリースを上手に作るお友達がいましたが、私はいつも下手でした。
そんなことを思い出す一日でした。
Photos & writing © Midori Nakagawa
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