ラフスケッチ Hanoi #7 ベトナムに花がある風景は日常、なのに特別
花市場へ行き花を買います。
ハノイで圧倒的な数の花が集まるこの場所は私にとって、このハノイで季節を感じる事が出来る場所、そして心の強さ、豊かさをもらえる大切な場所です。
花を飾る生活が好きですが、ここベトナムで飾ることに特別な思いがあります。
それは私が大切にしている本、ジャーナリストの近藤紘一さんの著書、「サイゴンのいちばん長い日」の中に描かれた鮮烈な花の情景が忘れられないからです。
ベトナム戦争をテーマに、サイゴン(現ホーチミンシティ)陥落前後の姿を克明に描いた著書で、ジャーナリストの体験を通した戦争のみならず、当時のベトナムの人々、生活、街風景が臨場感をともなって描かれた素晴らしい書と、時折書棚から取り出しては読み返し大事にしています。
ここにその一節を記します。
「こんな殺伐とした世界にありながらベトナム人は花なしでは暮らせないらしい。最初にこの国に住むようになってしばらくしてから、中部の農村地帯に旅行したことがある。たえず、政府軍と北・革命政府軍の戦火にさらされている村々だった。そんな生死のはざまの村でも、崩れかかったような貧しい家々の中に必ず新鮮な花がいくつか飾ってあった。」※「サイゴンのいちばん長い日」より引用
戦闘機が頭上を舞い、戦火にさらされた日々の中で、
花を飾ろうと思う気持ちはどんなでしょう。
どれほど想像しても、その思いに手が届き得ないものがあります。
花は希望でしょうか、
夢でしょうか、
願いでしょうか、
それとも、
諦め、
もしくは、言葉のない抵抗なのでしょうか。
戦闘機が頭上を通る日が来ても、日常を貫き、花を飾る強さが私にはありますか。
「花は生き方」
そんな強い信念を感じずにはいられません。
苦しい時、辛い時でも花を飾るベトナムの人々の強さ。
ベトナムで花市場へ行き、花を活けるたび、
それを思い出し花に勇気付けられます。
花を飾るのは日常、
でも、花を見るたび思い出す本がある。
そんな風にベトナムの人々を思うたびに、
花のある風景はとても特別なものに変わりました。
花市場へ行くこと、
そして花を飾る事。
それは強さを、
生き方そのものを、日々ベトナムから教えていただいているのだと感謝します。
朝陽を浴びていざ街へ。
市場で仕入れた花を、目いっぱい背負って出かける花売りのオートバイ。
花はこうして町の人々に届けられるのです。
クアンアン花市場にて
☆Information☆
クアンアン市場 *地図に表示
Address:
Chợ Hoa Quảng An, Quảng An, Tây Hồ, Hanoi
Open:
毎日早朝から
※朝8時では多くの店が終わっています。5時半~6時ごろが良い時間です。
クアンアン市場については当ブログ下記URL記事もどうぞ。
「お正月の花を買いに花市場へ クアンアン市場」
https://tokuhain.arukikata.co.jp/hanoi/2017/01/post_12.html
「月夜の花市場にて」
https://tokuhain.arukikata.co.jp/hanoi/2018/03/_hanoi_11.html
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Photos & writing © Midori Nakagawa
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