ヴェネツィアに行ってきました!

公開日 : 2019年03月11日
最終更新 :
筆者 : 浅井まき

皆さまこんにちは。ようやく暖かくなってきましたね。日本では花粉の季節でしょうか...幸いなことにイタリアではあまり花粉は飛んでいないようなので、花粉症持ちの方はイタリアにしばし避難されるのもいいかもしれません。

さて、週末を利用してイタリア半島の東側、ヴェネツィアに行ってきました。水の都ヴェネツィアの魅力とジェノバとの関係を2記事でお伝えしようと思います。

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ラグーナ(潟)に浮かぶ絶景の街

ヴェネツィアといえば世界でも指折りの観光地。いつでもたくさんの観光客でにぎわっています。3月5日に有名なカーニバルが閉幕したばかりで比較的人出は落ち着いていたようですが、それでもかなりの混雑でした。夏季には市内への入場が制限されることもあるそう。

人々が必ず訪れる場所がサン・マルコ広場です。

ナポレオンが1797年にヴェネツィア共和国を降伏させ上陸した際、「世界一美しい広場」と称したと言われています。この広場はヴェネツィアで最も海抜の低い場所であるため、冬の風物詩であるアックア・アルタ(高潮)の際は真っ先に水浸しになります。

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(創業1720年、世界最古のカフェ)

広場には土産物や工芸品を売る店のほか、多くの飲食店が並んでおり、なかでもフローリアン(Florian)は最も歴史あるカフェとされています。少々お値段は張りますが、美術館のような内装の店内で優雅なひと時を過ごすのもおすすめです。

ヴェネツィアの心臓、ドゥカーレ宮殿

サン・マルコ広場にそびえる宮殿のひとつ、ドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)はやはり必見です。ヴェネツィア共和国時代に国会議事堂、ドージェ(国家元首)公邸、官公庁、裁判所を兼ねていた建物で、ヴェネツィアの顔というべき豪華絢爛な内装を見ることができます。

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圧巻はなんといっても大評議会議場にあるティントレット(TintorettoことJacopo Robusti)作の「天国」。広い壁一面に描かれた大作は、実はコンペでは2位だったそう。1位を取ったのはパオロ・ヴェロネーゼの作品でしたが、彼はいざ壁画制作にとりかかる前に死去してしまったため、ティントレットに一任されることになったとのことです。

ドゥカーレ宮殿は通常ルートも非常に魅力的ですが、「秘密のルート(Itinerari segreti)」ツアー(要予約)に参加するのもおすすめです。ガイド付きのこのツアーでは通常ルートで見られる"表の顔"の裏側に息づくヴェネツィア共和国の事務方の執務室、そして共和国に潜んでいた内通者らを尋問したとされる拷問室、宮殿の屋根裏に広がる秘密の牢獄などを見て回ることができます。もちろん、ツアー後は通常ルートを回ることもお忘れなく。裏方を見てからの宮殿の姿は少し違って見えるはずです。

運河沿いには魅力がたっぷり

「ヴェネツィアを訪れる観光客はサン・マルコ広場を見て帰ってしまう」とよく言われますが、実際のところ市内の人出は相変わらずながら、ドゥカーレ宮殿、サン・マルコ寺院以外の博物館等各施設は「あれだけ人がいたのに...」と思うほど、意外に空いていることが多いです。そこで、ここはおすすめという見どころをいくつかご紹介します。

カ・ドーロ(Ca' d'Oro)。ヴェネツィアで最も美しい"黄金の館"

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"Ca'"とはヴェネツィア方言でcasa(家)のこと。カ・ドーロは直訳すると"黄金の館"という意味です。その名にふさわしい優美で豪奢な造りが特徴で、大運河沿いの邸宅の中で最も美しいと言われています。内部は博物館になっていて、ティツィアーノが若い頃に兄弟子ジョルジョーネとともに手がけたとされるドイツ人商館の壁画の一部が展示されています。テラスからの写真撮影もおすすめです。

アカデミア美術館(Gallerie dell'Accademia)。謎多き画家の謎の作品は要チェック。

(ジョルジョーネ画「嵐」/ヴェネツィア、アカデミア美術館所蔵。パブリックドメイン。<ウィキメディア・コモンズより引用>)

アカデミア美術館はティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ、ベッリーニ、カルパッチョらおなじみの"ヴェネツィア派"作品を数多くみられる名所です。私のおすすめはジョルジョーネの「嵐」という作品。ジョルジョーネ(GiorgioneまたはGiorgio da Castelfranco)はその生涯についてほとんどわかっていない夭折の画家ながら、生前から大変な人気で、ティツィアーノをはじめ多くの画家に影響を及ぼした人物です。彼の作品は高値で取引されたため精巧な贋作が多くつくられ、16世紀には既に贋作と見分けがつかなくなっていたと言われています。現在ジョルジョーネの真作と断定されている作品はわずか6点ともいわれますが、その一つがこの「嵐」です。一筋の稲光が走る、不穏な空気を感じさせる暗い空。のどかな田舎の風景の中、訝し気な視線を送ってくる裸婦と対岸に立つ男。そのテーマは全くの謎。今も多くの学者を悩ませる謎多き作品です。

カ・レッツォーニコ(Ca' Rezzonico)。ヴェネツィア斜陽の時代を垣間見る。

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カ・レッツォーニコはヴェネツィアの18世紀をテーマにした美術館です。18世紀にはかるて地中海の女王といわれた頃の力と栄光を失いつつあったヴェネツィア共和国でしたが、ヴィヴァルディらが活動し、文化面では非常に華やかな時代でした。カーニバルのどんちゃん騒ぎが半年も続いたともいわれています。そんな18世紀の華やかさを象徴する内装や調度品、絵画などが展示されています。

モチェニーゴ館(Palazzo Mocenigo)。衣装と香りの博物館。

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水上バスサン・スターエ(San Stae)停留所のそばにあるモチェニーゴ館は17世紀の邸宅で、当時そのままの美しい内装はさることながら、衣装と香料をテーマとした展示が興味深いです。とくに香料については実際に香りを楽しむこともでき、繊細な細工を施した香水瓶のコレクションも必見です。

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さて、魅力たっぷりのヴェネツィアですが、実はジェノバとは長年ライバル関係にありました。次の記事ではそんな2国の関係を解説したいと思います。

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