ジェノバ・王宮を徹底解説!
ワールドカップも決勝トーナメントに突入し、、いよいよ盛り上がっていますね。
そんな中ですが、イタリアでは毎月第一日曜日に全国の国立美術館、博物館がお得に利用できるのをご存知でしょうか。各地多くの施設が無料で一般開放されますが、ここジェノバでもこの機会を活用することができます。
今回の記事では、ジェノバ市内で第一日曜日に無料で入館できる施設の一つ、「王宮」についてご紹介します。
近世ジェノバ最大かつ最も豪華な邸宅
(窓を広く取った、シンメトリーの優雅なたたずまいを海側から。入り口は反対側ですが、こちらが正面です)
ジェノバにある国立美術館はこの王宮およびスピノラ宮国立美術館の2つです。
この「王宮」ことバルビ・ドゥラッツォ・レアーレ宮(Palazzo Balbi Durazzo Reale)は17世紀半ばに建設され、1664年に迎賓館リストである「ロッリ」に登録されました。(「ロッリ」制度についての詳細はこちらの記事へ→ https://m-tokuhain.arukikata.co.jp/genova/2018/04/post_1.html )
ジェノバ市内の17‐18世紀の建築物の中では最も広く、その内装や調度品などがそのまま残されています。その規模と見事な装飾や美術品のコレクションから、18世紀には多くの文化人が訪れたそうです。かのナポレオン・ボナパルトもこの屋敷に魅了された人物のひとり。そして、サルデーニャ王国への併合時には国王カルロ・フェリーチェがジェノバにおける居所としてここを利用したことから、「王宮」と呼ばれるようになりました。
屋敷の主たち
(フレスコ画や漆喰の彫刻で装飾された内部)
屋敷を建設したのはステファノ・バルビという人物です。バルビ家はジェノバではいわゆる新興勢力でしたが、ステファノはスペインへの融資や商業などで莫大な富を築いた人物で、「水銀王」との異名を得ていました。
市内でも長者番付上位に食い込むほどの富を持っていても、新興勢力であるために、旧来からジェノバの政財界を牛耳ってきた由緒ある貴族たちに対抗するため、自らの力と存在意義を強くアピールする必要がありました。そこで、市内のどの邸宅にも負けない、大きくて豪華な屋敷を建てたのです。その後、1677年に同じく新興貴族のドゥラッツォ家の手に渡り、更なる拡張が行われました。1824年、サルデーニャ王国のサヴォイア王家の所有となります。ここが美術館として利用されるようになるのは屋敷が国有化された1919年のことです。
内部へ潜入!
(鏡のギャラリー)
内部の見学は、入口左手の売店でチケットを購入した後、階段を最上階まで上ったところからスタートし、内部を時計回りに進んでいきます。
所蔵品は絵画、彫刻、工芸品など多岐にわたり、壁や天井のバロック~ロココ様式の装飾も見事なものです。
この屋敷の最大の見どころと言えば、「鏡のギャラリー」でしょう。
ヴェルサイユ宮殿の鏡の間と比較すると、規模も小さいですし、地味かもしれませんが、海辺の明るい光を受け華やかで優美な空間となっています。18~19世紀にかけて、多くの客人がここで食事や舞踏会を楽しんだそうです。内装はジェノバ出身の芸術家ドメニコ・パローディの手によるものです。
(玉座の間)
邸宅の中央部にはサヴォイア家の国王が滞在していた当時を彷彿とさせる、「玉座の間」があります。赤のベルベット貼りの壁が荘厳さを引き立てています。
ここで展示されている絵画作品の中で目玉と言えば、アントン・ヴァン・ダイクの「カテリーナ・バルビ・ドゥラッツォの肖像画」ですが、2018年9月まで貸出し中です。その他の作品は多くが17世紀にジェノバで活動した画家のものです。
(謁見の間)
表のバルビ通りに面した北側部分がいわば公的空間であるならば、南側は屋敷の住人たちが暮らしていた私的な空間です。広い窓から明るい光が差し込む室内は相変わらず絢爛豪華ですが、どこか生活感を感じさせます。各部屋には絵画作品のほかにも、調度品や家具などが展示されています。
通常一般公開されているのは以上の2階部分のみですが、特別な展示会などがある場合、1階部分も公開されている場合があります。
ジェノバの黄金時代の名残を最も濃く残す建築物のひとつです。ゆっくり回っても1時間強程度で十分に楽しめますので、ぜひ訪れてみてください。
王宮(Museo di Palazzo Reale)
Via Balbi 10, Genova, GE
入館料金:€6.00(※毎月第一日曜日は無料)
(※スピノラ宮国立美術館の一般チケットを提示すると、割引料金が利用できます)
開館時間:火-金 9.00-19.00
土日祝 13.30-19.00
(※チケット売り場は18:30まで)
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