ジェノバの繁栄の要、"サン・ジョルジョ銀行"へ潜入!

公開日 : 2018年05月23日
最終更新 :
筆者 : 浅井まき

先週末5月19~20日、ジェノバでは、以前の記事でもご紹介させていただいた、Rolli Daysというイベントが行われていました。今回の記事ではこの機会に特別に公開されたサン・ジョルジョ宮をご紹介したいと思います。

Rolli days

Rolli Daysはジェノバの世界遺産「ストラーデ・ヌオーヴェとロッリ制度の邸宅群」を存分に満喫できるよう企画されているイベントで、毎年2回程度、2018年は5月19~20日、10月13~14日に行われます。このイベントでは普段は公開されていない邸宅が特別に一般開放されたり、博物館などの入場料が割引になったりと大変お得です。

「国家の中の国家」サン・ジョルジョ

「ロッリ制度の邸宅群」には含まれていないものの、サン・ジョルジョ宮はジェノバの歴史的建造物としては非常に重要です。

この施設には港湾関係の団体などの事務所が入っており、普段は公開されていません(2018年からは毎月第一土曜の10時、11時に見学が可能となりました。※要予約。詳細は文末に)。今回はRolli Daysにあわせて特別に一般公開されました。

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(聖ジョルジョ)

"サン・ジョルジョ(La Casa delle Compere e dei Banchi di San Giorgio)"とは、一言でいうにはあまりに複雑な組織であったのですが、例えるならば財務省と日本銀行と都市銀行を合体させたようなものです。1407年に設立された世界初の中央銀行の一つで、ジェノバ共和国政府に対しても非常に大きな権限を持っていたことからと"国家の中の国家"とも喩えられました。

ジェノバで初めての公共建築

元々の建物は13世紀のもの。当時のジェノバでは公共の概念がとぼしく、政治さえ誰かの私邸か教会で行われていたほどだったのですが、グリエルモ・ボッカネグラという人物の提案により1260年、ようやく公共の建物がつくられることになります。当初は海の傍に建っているため"海の宮殿"と呼ばれました。それから何世紀もかけて増築や改修を繰り返して現在の姿になりました。

海から見るジェノバの"顔"

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(サン・ジョルジョ宮外観)

海側の外壁を彩るフレスコ画は16世紀に描かれたものです(ただし、サン・ジョルジョが解体された19世紀以降ひどく損傷し、1960年頃に大規模な修復が行われました)。海からやってきた外国の船が一番最初に目にする建物がこのサン・ジョルジョ宮であったので、ジェノバの"顔"として鮮やかで壮麗な外観にリフォームされました。金色で描かれた人物像は、ジェノバの発展に多大な貢献をした人々です。

東方見聞録が書かれた場所

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実はこの建物、あのマルコ・ポーロが東方見聞録を口述した場所と言われています(明確に記された史料がないため、はっきりとはしていません)。

マルコ・ポーロはヴェネツィア共和国の人ですが、当時ジェノバとヴェネツィアは戦争をしていて、アドリア海のクルツォラでの海戦でジェノバが大勝利をおさめます。そのとき捕虜としてジェノバに連れてこられたのがアジアへの商用旅行から帰る途中だったマルコ・ポーロでした。彼がサン・ジョルジョ宮にあった牢獄の中ですることがなく、アジアでの出来事を仲間に語っていたのを記録したものが東方見聞録と言われています。

多様な歴史を擁する内部へ

見学は正面玄関から始まります。一回20名程度のグループで係員に従って回っていきます。

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まずはサン・ジョルジョの大評議会が行われていた広間へ。内部は大規模な修復のためシンプルな白壁となっていますが、大理石の彫像が壁面にいくつも飾られています。この人々はサン・ジョルジョに対して経済的貢献を行った人で、立っている人よりも座っている人の方が多くの寄付をしたのだそう。中央に飾られている聖母マリアと聖ゲオルギウスを描いた絵は17世紀にジェノバで活躍した巨匠ドメニコ・ピオラの手によるものです。

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次に、中世に建設された古い部分へ。壁や床のタイル装飾がとても繊細で美しいです。ジェノバはイベリア半島との交易関係がとても強かったので、スペインなどでみられるようなタイル装飾がよく用いられています。

15世紀の設立から19世紀の解体まで、ジェノバの繁栄の要として君臨してきたサン・ジョルジョ。その座所はジェノバの"顔"でもありました。客人を迎えるための建物ではありませんので、「ロッリ」の邸宅に比べるとシンプルですが、随所に粋を尽くした装飾も見られます。

見学ツアーはイタリア語のみではありますが、タイミングが合えばぜひ訪れて頂きたいユニークな名所です。

Palazzo San Giorgio

Via della Mercanzia - 16123 Genova

一般開放:毎月第一土曜日10-12時(見学ツアー:10時、11時)(※予約必須)

料金:無料

予約:木曜日までに電話またはeメールで予約する必要があります。

Tel: (+39) 333 7781977

Email: genova@delegazionefai.fondoambiente.it

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