ラファエロのマドンナ生誕500年祭

公開日 : 2012年03月07日
最終更新 :
筆者 : 柴山 香
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五寒二温のスローペースで春に向かうドイツ。まだまだ冬用のコートを片付けるわけにはいきませんが、店側が準備したぶ厚い毛布にくるまって、ストリートカフェで寒中ヤセ我慢比べをするドイツ人の姿は、ひんぱんに見かけるようになりました。道ばたのクロッカスにレンズを向ける市民の姿も、遠くない春を予感させます。

さて、本日は、久しぶりに名画の話題をひとつ。

16世紀初頭のイタリアで活躍した、ルネサンス画家ラファエロ。ラファエロ自身は、わずか37歳でその生涯を閉じてしまいましたが、彼の代表作のひとつである「システィーナのマドンナ」が、今年で生誕500年祭を祝います。

「システィーナのマドンナ」という作品名にはピンとこなくても、作品下部に描かれたかわいい天使像(本日の画像)を見て、「あ、この天使なら知っている!」という読者も多いのではないでしょうか。

そもそも、「システィーナのマドンナ」がドレスデンにやってくるきっかけとなったのは、ザクセン選帝侯アウグストの美術品収集熱。巨匠ラファエロの大作を、何とかして自分の手に入れたいがため、実に2年間という長きにわたって、この絵の所有主であったイタリアの教会を説得。

最終的に、250,000 Scudi(当時の通貨)という大金をつぎ込んで、ようやく我がものにしたといわれています。その当時、著名画家の有名作品がおよそ1,000 Scudi程度で取引きされたといいますので、「システィーナのマドンナ」を譲り受けるため、相場の250倍もの金貨銀貨を山積みした計算になります。

かくして、今から約260年前に、選帝候アウグストの膨大な美術コレクションのひとつとしてドレスデンにやってきた「システィーナのマドンナ」は、観光都市ドレスデンの顔として、今もなお、世界中からの訪問客を魅きつけてやみません。

「システィーナのマドンナ」が常設展示されているドレスデンの古典巨匠絵画館では、来たる5月26日より、3ヶ月にわたる生誕500年記念特別展が開催されます。記念特別展と平行して、市内各所でも、関連イベントやコンサートなどが目白押しですので、本作品に登場する2人の天使にとっても、大忙しの1年になりそうです。

なお、ドレスデン市内の主要美術館の一般入館料は、およそ8〜10ユーロ程度ですが、年間フリーパスはわずか40ユーロ。ゆっくり滞在して美術館巡りをしたい方は、思い切って年間パスを購入してしまった方が得になる場合があります。ただし、年間パスは記名者本人しか使用できませんので、1枚のパスを、旅仲間で使い回すといった裏ワザは使えません。念のため。

(本ブログ掲載画像は、ドレスデン古典巨匠絵画館よりご承諾を頂き、転載しました。無断複製、転載はお控え下さい。Quellenangabe: Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Gemaeldegalerie Alte Meister. Foto Estel/Klut.)

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