世界には4つの国しかないーその言葉の意味とは?
1971年にノーベル経済学賞を受賞した、
アメリカの経済学者・統計学者です。
彼の有名な言葉のひとつに、
「世界には4つの国しかない。
先進国と途上国、そして、日本とアルゼンチンである。」
という言葉があります。
それは一体、どういう意味なのでしょう。
1900年初頭、アルゼンチンは黄金期を迎えていました。
世界を制するのはアメリカかアルゼンチンか。
そう言われるほどの国力を誇っていたのです。
実際、その当時の国民1人あたりのGDPは、およそ2750ドル。
同じ時期の日本は1130ドルでしたから、
日本の2倍以上の経済力があったことになります。
この関係が逆転したのは、1967年のこと。
高度経済成長に沸く日本、そして停滞・後退を始めたアルゼンチン。
戦後の混乱から、奇跡的な発展を遂げた日本は、
資源がほとんどない小国でありながら先進国の仲間入りを果たしました。
一方アルゼンチンは、豊かな資源がありながら、工業化に失敗し、衰退。
途上国から先進国になった日本と、
先進国から途上国になったアルゼンチン。
どちらの事例も非常に稀なことであり、
それをもってグズネッツは前述の言葉で
世界には4種類の国があると説明したのです。
その後、アルゼンチンは2001年から02年にかけて
国家的な経済崩壊を体験しました。
アルゼンチンのたどった経済崩壊までの軌跡を簡単に並べてみると、
1国家の成長産業勃興
2経済の高成長
3成功体験
4傲慢
5転落
6崩壊
となります。
これは、国家的経済崩壊の例として
「アルゼンチン型」と呼ばれていますが、
バブル崩壊前後の日本のパターンもこれによく似ているとする指摘もあります。
日本はまだ、「6崩壊」まで進んではいませんが、
長引く不況に対する国民の閉塞感は、アルゼンチンより深刻かもしれません。
経済崩壊から10年が経ち、慢性的なインフレを抱えつつも
2009年のGDP成長率は0.9%でした。※国家統計・センサス局2010.3.19発表
2003年から2008年まで
5年連続で経済成長率が8%を超えてきたというのは、
アルゼンチン経済の復活ののろしと言えるかもしれません。
ただし、政府が発表するこれらの数字の信憑性を
疑問視するエコノミストも少なくないので、
アルゼンチン経済の復活がホンモノであるのかどうかを見極めるのは
なかなか難しいところでもあります。
ほぼ10年に一度、危機にさらされてきたアルゼンチン経済。
国民の閉塞感もいかばかりか、と思いきや
「これがアルゼンチンスタイルだからね(笑)」
とドッシリ構えている人の方が多いように思います。
明るく、楽しく、たくましく、
経済危機を乗り越えてきた国民の笑顔が
今日もまぶしいアルゼンチンです。
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