No 15. You must visit Athens! - カリムノス島のナチュラル・スポンジ
ヤーサス! 皆さんこんにちは!
アテネは少しずつ涼しくなりつつありますが、
今回のブログでは8月一杯夏休みを過ごしたギリシャ、エーゲ海東南部に位置するドデカニサ諸島のカリムノス島の天然海綿(ナチュラル・スポンジ)についてご紹介したいと思います。
ちなみに海綿とはギリシャ語でΣπόγγος(スポンゴス)、Sponge(スポンジ)の語源となりました。
ギリシャにおける天然海綿の歴史は長く、アリストテレスやプラトンをはじめとする古代ギリシャの哲学者の時代から入浴の際に利用されてきました。
また、吟遊詩人のホメーロスの作品"オデュッセイア"の中にも天然海綿について言及されているそうです。
温暖なエーゲ海近郊は天然海綿の発育に適しており、カリムノス島でスポンジ漁が始ったのは18世紀頃と言われ、それ以来島のスポンジ産業は今日に至る迄現地の経済を支えて来ました。
しかしながら昔のスポンジ漁はとても過酷で危険を伴う職業でもあったのです。
スポンジ・ダイバー達は30メートル近い深海により早く到着する為に、15キロもある"スカンダロペトラ"という平らな大理石を重しに、裸で素潜りし、息の続く間約5分の間に海底から天然海綿を採集したものでした。
1865年には"スカファンドロ"というダイビング・スーツの利用が普及し、それによってダイバー達は一日に数回、海底には最大70メートル迄到達できる様になりました。
ですが、"スカファンドロ"を着用しての天然海綿漁はダイバー達に特有の病である潜水病や減圧病をもたらし、1886年から1910年の間に約一万人のスポンジ・ダイバーが無くなり、2万人が身体障害者の認定を受ける事態が発生しました。
そんな危険を伴うカリムノス島で最も古い産業であるスポンジ漁ですが、当時の島の男達は
天然海綿漁で生きるか(生計を立てて行く)か、死を選択しなければならなかったのです。
現在では幸い科学技術の進歩により昔ほど危険を伴わなくなりましたが、漁の為何ヶ月も家族と離れて生活する事を余儀なくされることは昔も今もさほど変りません。
カリムノス島の港付近、ポスィア(Pothia)には多くの天然海綿を扱ったお店があります。
その中でもお勧めのお店が写真のステリオスさんの- Kalymnos Songe's Warehouse (スポンジ倉庫カリムノス)です。
お店に入った瞬間、大小様々な大きさの海綿の数々。その規模の大きさに圧倒されてしまいます。
写真中央が"スカファンドロ"
天然海綿(エレファント種、ハニカム種、チムーハ種)
海底から採集された海綿は海綿漁船上で洗浄されます。天然の海綿は生き物ですので圧縮すると乳白色の液が流れ出ます。漁船の上ではこの液が出なくなるまで海綿をキレイにします。この液体が海綿の体内から抜けないと、次の段階の漂白作業で海綿本来の色(黒褐色)が落ちなくなり、お店で販売されているような美しい黄色のスポンジの色が得られません。また、柔らかい質感も出なくなってしまいます。
漁船の上で必要な段階を得た天然海綿はその後天日干しにされます。
そして店頭に並ぶ前にはさみで使いやすい綺麗な丸みを帯びた形にカッティングされます。
天然海綿はポリウレタン等の合成樹脂でつくられたスポンジよりも丈夫で長持ちし、海綿繊維質(柔らかいスポンジ状の繊維質)でかたい骨片を持たないので、肌の弱い人やアトピー肌等の乾燥肌、敏感肌の人の化粧用や入浴用のスポンジとして安心して使って頂けます。
天然海綿には下記の5種類があります。
1. FAINE (ファイン)
名前の通り、天然海綿の中でも最も値段が高い品種。
密度が濃く、柔軟性があり、肌触りもベルベットのように非常になめらか。
2. TIMOUHA (チムーハ)
イソギンチャクの様な形が特徴。主に装飾用に利用される。
3. HONEYNOMB (ハニカム)
楕円形をしていて海綿の種類の中でも最も重量と厚みがある。
色は大抵濃い褐色。
4. SILK (シルク)
ファインの品種に属するが、シルク種は大抵円形をしており、
若干かたい質感が特徴。
5. ELEPHANT EARS (象の耳)
独特の青みのある灰色の象の耳の様な形をした天然海綿。
その独特の形状は海綿品種の中で最も美しいとされる。
直径が1メートルを越えるものもある。
主に装飾用に利用される。
ファイン種(手前)とハニカム種(奥)
ステリオスさんの海綿倉庫はなんと日本にも天然海綿を輸出しているとそうです。
なかでも人気商品はこちらの天然スポンジの洗顔・化粧用パフ。
私も長年愛用しているのですが、洗顔時に洗顔料を泡立ててこのパフで螺旋を描く様にマッサージすると古い角質も穏やかに取り除かれ、洗顔後はツルツルのお肌に。
また、リキッドファンデーションと一緒に使用する際は、パフに水気を含ませてその後堅く絞ってから使います。一石二鳥の優れものなのです。
オーナーのステリオスさん。初心者にも親切に天然海綿について教えてくれます。
皆さんも機会があればカリムノス島のナチュラル・スポンジ、ぜひ一度使ってみてください。
病み付きになること請け合いです。
またギリシャのお土産にも最適ですよ!
Sponge Warehouse "KALYMNOS"
Address:AGIOS NIKOLAOS KALYMNOS 85200 DODEKANESE GREECE
Tel.: +30 6945272120, Fax.: +30 2243023544
URL: www.spongeskalymnos.gr
E-mail: info@spongeskalymnos.gr
アテネからカリムノス島へのアクセス:
アテネ国際空港より国内線で約45分。
https://www.olympicair.com/
ピレウス港、第一埠頭(E1)よりフェリーで10-15時間(週3回出航)
http://www.bluestarferries.gr/
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