No 3. You must visit Athens! - アテネのシンタグマ広場とギリシャ全土国民集会

公開日 : 2015年03月25日
最終更新 :

今年1月末にアレックス・ツィプラス(Alex Tsipras)を党首とする反緊縮を掲げる急進左翼野党のSYRIZA(急進左派連合)の新内閣発足に伴い、連日欧州連合(EU)の官僚達との交渉に苦戦しているギリシャ政府を応援すべく、Facebook上ではギリシャ国家と国民をサポートすることを目的にギリシャ中のプラティア(Platia) = 広場で一般市民による集会、シラリティリオ(Syllalitirio)が企画され実施されるようになりました。

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とある日曜日の午後、コロナキ地区のソロノス通りで通訳の仕事を終えた私は、シンタグマ方面を目指し、ヴァシリッシス・ソフィア通りに向かって歩いていました。通りに出てみると、ひどい人だかりで道路も規制されていました。たいていアテネ中心部でデモやストライキがある場合はその周辺の地下鉄の駅は閉鎖されてしまい、市民と警察官の衝突事件なども発生する恐れがある為、不安でドキドキしながら人ごみを恐る恐るかき分けながら地下鉄の駅の方へ慎重に歩いて行きました。やっとの思いでシンタグマ広場付近まで辿り着くと、そこではギリシャ全土国民集会、シラリティリオ(Syllalitirio)が開催されていました。

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 多くのギリシャ人やギリシャに居住する外国人達もそれぞれの思いやメッセージを掲げながら小雪のちらつく寒さの中、集会に参加していました。予想に反して、辺りの雰囲気はとても平和的で警察の姿はどこにもみられませんでした。幸い、地下鉄も通常運行していて得にトラブルに巻き込まれることもありませんでした。個人的にはこんなに大規模な集会の現場に遭遇したのは初めてで、少し動揺してしまいましたが、公約実現を図り欧州連合(EU)と真っ向から挑む新政府を応援する国民の姿を目の当たりにし、なんとも誇らしくえ、温かい気持ちになりました。

 普段は交通に便利な為、なにげなく待ち合わせの場所等に利用するだけで素通りしてしまいがちのシンタグマ広場ですが、歴史を辿ってみると昔も今もギリシャ国民の「表現の場」、「叫びの場」であったことが分ります。

 ギリシャは1821年にオスマン帝国(現トルコ)の支配下から離脱する為にクーデターを起こし、結果翌年の1822年に独立宣言を行いますが、独立後はイギリス、フランス、ロシアの間で集結されたロンドン条約により、当時欧州列強に対し中立的立場にあったドイツ、バイエルンのオットー王子が初代ギリシャ国王オソン1世として即位、ギリシャでは国王が政権を握る君主制政治が始まりました。

しかしながら、後に君主制に対する反感を覚えたギリシャ国民がクーデターを起こし、憲法の制定を要求、結果アンドレアス・メタクサを首相とする新内閣が発足し事実上政権交代がなされました。1843年9月3日のことです。

 この時代背景がなぜシンタグマ広場と関係があるのかと言うと、オソン1世の父バイエルンの国王ルートヴィッヒ1世が1835 年に宮殿の前に広場を作ったのですが、当時プラティア・アナクトロンと呼ばれていたこの広場は1843年9月3日の事件後、国民が政治に参加できるようになったことを記念しシンタグマ広場(憲法広場)という新たな名称で呼ばれるようになりました。それから、現在も見られる広場の中央の噴水はオソン1世の妻アマリア王妃の希望により設置されたもので、当時政治にも介入していた彼女の名前は国会議事堂とシンタグマ広場の間を走る大通りの名前(アマリアス通り)にもなりました。

 先にも述べましたが、シンタグマ広場はアテネでの待ち合わせにとても都合がいい場所です。地下鉄の改札を出て階段を上ると博物館の一角のようなスペースになっていて遺跡の常設展示が見られます。

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私は寒い冬場は、そこを友人との待ち合わせによく利用します。逆に天気の良い温かい日は広場で待ち合わせをします。地下鉄のシンタグマ駅をでるとその目の前が広場で、両サイドにはちょっとしたカフェもあり、広場の至る所にベンチが設置されています。最近では無料でWIFIの利用もできるようになりました。ベンチに腰掛けて人間ウォッチングをするのもまた楽しいものです。

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シンタグマ駅を拠点にすればお洒落なブティックの多いコロナキ方面へ買い物に行くにも、プラカへ散策に出るにもちょうどいい距離間隔です。広場の向かいはショッピング街としても有名なエルムー通り。この通りをひたすら真っすぐ行くとプラカにも近いモナスティラキ駅に突き当たります。市内のメトロは一駅間の距離が短いので歩いても10分位です。ただ、道はアスファルトやコンクリートで比較的整備されていますが、段差や石畳等もあったりしてあまり歩きやすいとは言えません。ですからお散歩の際は歩きやすい運動靴を履いて行かれることをお奨めします。

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来月はお散歩の時にぜひ歩きながら食べてみて欲しいアテネのストリートフードについてご紹介したいと思います。乞うご期待!

それではまた。ヤーサス!

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