スターリン体制下 政治犯の妻たちの強制収容所「アルジール」に日本人女性(中編)

公開日 : 2015年05月26日
最終更新 :

粛正が繰り返されたスターリン体制の下、「祖国の裏切り者」と呼ばれた女性やその妻

たちがアスタナから車で数十キロにある強制収容所「アルジール」に囚われていました。

アルジール跡地に建てられた「政治的抑圧による犠牲者の記念館」の中へ進みましょう。

【前編はこちら】https://tokuhain.arukikata.co.jp/astana/2015/05/post_71.html/

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壁面に粛正の歴史の断片が飾られている12メートルにおよぶトンネルを下ってゆきます。

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右手にある「KACCA」と書かれたチケット売場で入場券を購入。大人300テンゲ、学生

250テンゲ、5人以上のグループであれば英語/露語のガイド(有料)をつけられます。

そして忘れてはならないのがドキュメンタリィ映像の鑑賞。チケットは500テンゲです。

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記録映像は「酷寒のアルジール」(The Fierce Cold of ALZHIR,約20分、英語字幕)

主に収監者やその家族へのインタビューをはじめラーゲリの歴史を知ることができます。

収監された母親に宛てた子どもからの励ましの手紙には心が締め付けられる思いでした。

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映像の後はメインホールへ進みましょう。吹き抜け中央には力強くも弱々しく今にも折

れてしまいそうな黒色の細い薔薇(the flower of life)が地面を突き破り咲いています。

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見上げると黒いワイヤーでできた2つの空間に囚われた15羽の鳩(Doves in captivity)

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一階はカザフスタンにおける民族粛正に関する歴史の資料が多く陳列されているのです

が、ガイドが付かなければ少し難関なのでそのまま二階に進んでもいいかもしれません。

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二階は収容者の生活がより視覚的に展示されています。ラーゲリの女性たちは皆番号で

呼ばれ、定期的に自身と夫のスパイ活動への関与について厳しい尋問を受けていました。

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こちらは「裁縫所」。収容された女性には僅かな食糧と休憩があてがわれ、それぞれ健康

状態に合わせ軍服の裁縫、家畜の世話、農作業、建設作業での労働が強いられたのです。

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1938年2月。家のスリッパ等を履いた最初の女性達が雪だまりを掻き分け到着しました。

稀に自身の活動への罪を問われた者もいましたが、殆どの女性たちが犯した唯一の罪は

「裏切り者」と結婚したこと。多くが「反革命罪」の汚名を背負ったまま亡くなりました。

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働きに出掛ける妻達の姿を描いたジオラマもあります。女性たちはまるで家畜のように

人だけでなく番犬にも追われ、高台からは銃で武装したソ連兵より監視されていました。

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しかし最も辛いことは処刑の有無も知らされず愛する夫と別々に収容され、産まれた子

とも引き裂かれたことではないでしょうか。母親の悲痛な表情が全てを物語っています。

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博物館の中にはこうしたインスタレーションのほか記録文書、写真資料、尋問記録、銃

殺刑の宣告文などがあり、実在の歴史であったことを目の当たりにすることとなります。

さて、次はいよいよ最終回。ここアルジールにいたという日本人女性の記録に迫ります。

【後編へ】https://tokuhain.arukikata.co.jp/astana/2015/06/post_74.html

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【強制収容所跡地博物館「アルジール」(АЛЖИР)】

Address:pos. Akmol, Akmolinskaya

Phone:8 (7172) 499 455, 8(7172)542 669

Hours:9:00-18:00 (日曜休館)

Fee:大人300,学生250,小学生以下170,映画500(テンゲ)

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